これが終わったら独りで静かに山で暮らす

「この仕事をやりきったら、会社もエンジニアも辞めて、誰も居ない山にプレハブを建てて独りで静かに暮らすんだ」って常に思いながら働き続けている。

エンジニアになったきっかけ

父親や叔父が技術者という家系に生まれた自分は、小さい頃からなんとなく「自分もエンジニアになるんだろう」と思い込んで生きてきた。 また、小学一年生の頃には「自分は人と関わるのが苦手だ」と気付き、「エンジニアになれば、人間と関わらずに黙々と仕事をこなすことで生きていける」という噂を信じていたのも、エンジニアになった理由の一つだと思う。

エンジニアの現実と責務

だが、就職してみるとエンジニアという職業は人と関わることがとても多い。というか、チームで一つの何かを作る仕事であれば、どんな職業だろうが当たり前に人と関わることになる。

「本当に今作るべきものは何か」「それをどうやって作るのか」を常に考えながら働く必要があるので、チーム内外の人間との対話が非常に重要になる。

つまり、本質的に求められているものは何であるかを追求し、それが分かれば要求を満たすシステムを開発してリリースすることこそがエンジニアの責務であると考えていた。

だが、人間と関われば関わるほど、どんどん人間が嫌いになっていく。当然ながらそれぞれの人間が本質だと思っていることは違うし、そもそも本質に関心があるとも限らないから、まず本質に対する認識を合わせるために対話が必要である。

しかし、誰しもが対話にオープンとは限らない。上で示した「エンジニアの責務」を全うしようとすればするほど、それぞれの人間の感情の機微を深く理解し、対話相手の心を切り開かなければならない。

でも、「人間との関わりを持たずに生きていける」と希望を見出してこの仕事に就いたのに、何でこんなことになっちゃったんだろう。

解決

結局、人間が存在する場所で暮らす限り人間との関わりを断つことはできない。 だから、この仕事をちゃんとやりきったら、誰も居ない山にプレハブを建てて、独りで静かに暮らしたい。